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経営者必見! ES(従業員満足度)向上のキーワードは、“業務のデジタル化”にあり! 「バックオフィス業務に関する総合調査」レポートを読み解く

MJSでは、財務・経理・人事・総務・労務などバックオフィス業務に関わる445名を対象に、仕事のデジタル化やそれに伴う業務内容の変化、テレワークの実施状況、リスキリングの取り組み状況、仕事への満足度の変化などを聞くインターネット調査「バックオフィス業務に関する総合調査」を実施し、その調査レポートを公開しております。

本調査は多角的なアンケート項目を設け、さまざまな視点から分析しました。また、MJSグループの人事系コンサルティング会社である株式会社トランストラクチャの専門家が調査結果を踏まえ、どのように経営に活かしていけば良いかを解説しました。

今回の記事では調査結果の一部をご紹介します。また、最後にはレポート全体のご案内も記載していますので、ぜひ最後までご覧ください!


レポート①:デジタル化により質の高い仕事ができていると、業務量が増加しても6割以上が仕事への満足度が高いと回答!

AIの活用は業務効率化に寄与!

「1年前と比べ、IT/デジタル活用が進んでいると思うか」という質問について、「もっと進んでいる」「やや進んでいる」の回答割合が合わせて72%となりました。

【質問】あなたの部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べてIT/デジタル活用は進んでいますか。

一方、「自部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べてデジタル活用(IT/AIなど)によって業務を効率化できたか」という質問については、半数以上の52.8%が「非常に効率化できた」「多少は効率化できた」と回答しているものの、デジタル活用が進んでいると感じている人の割合72%に対しては、業務効率化が実感できていない結果となりました。

【質問】あなたの部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べてデジタル活用(IT/AIなど)によって業務を効率化できたと思いますか。

また、「(生成AIに限らず)1年前と比べて業務にAIを使う機会は増えたか」という質問には、「もっと増えた」「やや増えた」の回答割合が合わせて50.6%となり、この層については上記の質問「自部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べてデジタル活用(IT/AIなど)によって業務を効率化できたか」に対し、77.1%が業務効率化を実感できているという回答結果になりました。AIの活用が業務効率化に寄与していることがうかがえますね。

【質問】あなたの部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べて業務にAIを使う機会は増えましたか。ChatGPTのような生成AI以外のAI活用も含めてご回答ください。


【質問】(AIを使う機会が「もっと増えた」「やや増えた」と回答した人について)あなたの部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べてデジタル活用(IT/AIなど)によって業務を効率化できたと思いますか。

デジタル活用ができていると、業務量が増えても仕事に満足!

続いて、「1年前と比べた業務量の変化」「1年前と比べた仕事への満足度」について質問した回答の分析結果をご紹介します。
1年前と比べた業務量が「もっと増えた」人の、「1年前と比べた仕事への満足度」は「以前よりもかなり満足できている・やや満足している」が合わせて60%を超える結果となりました。

また、業務量が「やや増えた」と回答した人も同様に、「以前よりもかなり満足できている・やや満足できている」が合わせて60%を超える結果となりました。

一方で、業務量が「変わらない」「やや減った」「かなり減った」場合は、仕事への満足度には、ばらつきが出る傾向となりました。

【質問】この1年間でのご自身の仕事への満足度の変化はいかがでしょうか。

業務量が「もっと増えた」「やや増えた」と回答した人に「デジタル活用による仕事内容の変化」を質問したところ、「データを活用した業務に取り組めるようになった」との回答が63.6%で最多となりました。
一方、業務量が「やや減った」「かなり減った」と回答した人に同様に質問したところ、「自動化等により入力や集計など作業的な仕事が減った」が55.6%と最多となりました。なお、「データを活用した業務に取り組めるようになった」と回答した人は37%と、業務量が「もっと増えた」「やや増えた」人と比べ低い結果となりました。

【質問】この1年間で、デジタルの活用によってあなた自身の業務内容に変化はありましたか。


【トランストラクチャ・専門家のコメント①】
業務量が減った方の半数がデジタル活用(自動化)の恩恵を受けていると回答しています。また、業務量が増えた方の半数以上がデータを活用した業務に取り組めるようになったと回答しています。業務時間が増えても仕事に満足できているのはデジタル化されたことで単純作業から、より付加価値の高い仕事に取り組めるようになったことが要因と推察されます。

しかし、「データを活用した業務に取り組めるようになった」と回答した方は6割ですが、「創造性の高い業務に取り組めるようになった」と回答した方は2割に留まりました。今後はその割合を増やしていく必要があります。

単にデジタル活用を推進するだけでなく、それによって会社が何を実現させたいのか、社員に目的を共有・浸透させると共に、デジタルリテラシーを育む教育を実施する事も重要です。今後、求められるスキルや人材要件も変化していく中で、企業は、単なる「デジタル活用」の先に、価値創造を追求していく事が求められます。

レポート②:リスキリングに取り組む層は2割程度にとどまるも、デジタル化の進展がリスキリング意欲を加速させる一要因に

レポート②は「スキルアップ・リスキリングの取り組み状況」についての調査分析結果です。

まずは「スキルアップ」「リスキリング」への取り組み状況を聞きました。
スキルアップに取り組む人は5割を超えるも、リスキリングに取り組む人は約2割、現在の業務に関連したスキルの向上に取り組む人が多い傾向が見られます。

【スキルアップの取り組み状況】


【リスキリングの取り組み状況】

※スキルアップ…現在の業務スキルや知見の向上を目的とした取り組み
※リスキリング…現在とは異なる業務スキルや知見の向上を目的とした取り組み

次に、何かしらリスキリングに取り組んでいる人を従業員規模別でみた場合、従業員規模によらず会社負担の講座や勉強会、書籍を活用している層が一定割合いるものの、従業員規模が100名以下の場合、自費でリスキリングに取り組む人が40%を超える結果となりました。

【質問】(何かしらリスキリングに取り組んでいる人の内訳) この1年間ほどでは、どのようなことをしていますか。※複数回答可


何かしらリスキリングに取り組んでいると回答した人のうち「1年前と比べ、デジタル活用(IT/AIなど)によって業務を効率化できたか」という設問では、「非常に効率化できた」「多少は効率化できた」を合わせて70.6%の人が効率化できたと回答しました。

調査対象全体では「非常に効率化できた」「多少は効率化できた」の合計が52.8%であることから、自社のデジタル化の進展という環境の変化が、リスキリングに取り組むきっかけの一要因となっている可能性があります。

【質問】(何かしらリスキリングに取り組んでいる人の内訳) あなたの部署の業務もしくは全社的な取り組みで、1年前と比べてデジタル活用(IT/AIなど)によって業務を効率化できたと思いますか。


【トランストラクチャ・専門家のコメント②】
2022年頃から国内でも使われるようになった「リスキリング」という言葉。今回の調査結果は、その浸透が道半ばであることが推察される結果となりました。

従業員視点に立つと、スキルアップが現在の業務、言い換えれば短期的な視点で即効性のあるスキルや知見を活用することの学びであるに対し、リスキリングは、中長期な視点も踏まえ、将来のキャリア形成も見据えた学びや就業機会の模索行動とも言え、先が見えないことへの学びの準備が不足していることが見て取れます。

一方、企業経営側の視点に立ちますと、従業員規模が100名以下の場合、自費でリスキリングしている人が4割超という調査結果から、企業経営側から十分な教育機会の提供(投資)がされておらず、リスキリングの目的や意義について、従業員に対して適切な動機づけが十分にされてないことも推察されます。

大企業と比較して中小企業は相対的にIT投資による業務効率化(デジタル活用)が進んでいないことが一因ではありますが、変化の激しい事業環境において、業務効率化への対応は必須であり、それを人材投資の面で支える施策が「リスキリング」です。

企業経営側主導で、誰にどのようなスキルを身につけてほしいかを明確にすること、従業員に対する適切な動機づけ(どうしてリスキリングが必要なのか)と教育機会の提供、および自社内でそのスキルを発揮できる就業機会(キャリア)を提供することが求められます。

レポート③:デジタル化の進展がテレワーク促進と従業員満足向上の要因に

最後に「テレワークの実施状況」の観点から行った調査結果の一部をご紹介します。

「2023年5月のコロナ5類移行後のテレワークの実施比率」が「もっと増えた」「やや増えた」人は28.5%、「やや減った」「かなり減った」人は20.2%と、この調査では「増えた」層のほうが多い結果となりました。

回答者の所属する企業の従業員規模で比較すると、2,000名以下の企業に所属する回答者にテレワークの比率が「増えた」層が多く見られ、2,001名以上の企業では「減った」層のほうが多い結果となりました。

一方で「もともとテレワークはなかった」層が27.5%おり、特に1,000名以下の企業に所属する回答者に多く見られました。

【コロナ5類移行後のテレワーク率の変化】
【回答者の所属する企業の従業員規模ごとのテレワーク率の変化】


「コロナ5類移行後のテレワークの比率の変化」と「この1年間での仕事への満足度の変化」に対する回答を掛け合わせて集計すると、テレワークが「もっと増えた」層の「以前より仕事に満足している」回答は86.9%に達しました。

【テレワークの比率の変化と仕事への満足度の変化】


「テレワークが増え、かつ満足している」回答者の「デジタル活用による業務効率化の傾向」を見ると、「効率化できている」とする回答が80%を占め、全体の傾向(52.8%)を大きく上回る結果となりました。

【「テレワークが増え、かつ仕事に満足している」人のデジタル化による業務効率化の実感度合い】


一方、既に「フルリモート勤務をしている」人の仕事への満足度にはバラツキがありました。そこで「フルリモート勤務をしている」人を分析した結果、「以前よりも満足できている」人はいずれも「デジタル化による業務効率化ができている」回答者でした。一方、「(満足度は)変わらない」「以前よりもかなり不満がある」人は、いずれも「デジタル活用自体ができていない」もしくは「デジタル化したが(業務効率は)変わらない」と感じていることが分かりました。
仕事への満足度向上には、単にテレワーク比率を増やすだけではなく、デジタル活用による業務効率化が伴っていることが大事なようですね。


【フルリモート勤務をしている人の仕事の満足度とデジタル化】


【トランストラクチャ・専門家のコメント③】
この調査結果を踏まえると、コロナ5類移行後もテレワークの比率が増加した企業では、従業員の仕事満足度が向上する傾向にあることが明らかです。特に、テレワークが「もっと増えた」層のおよび「やや増えた」層の8割以上の方が以前よりも仕事に満足していると回答しています。このことは、柔軟な働き方が従業員の幸福度や生産性に寄与することを示しています。

一方、大規模企業ではテレワークの比率が減少傾向にあり、1,000名以下の中小企業ではもともとテレワークを導入していない企業が多いことが分かります。これらの企業は、旧態依然の労働環境から変化がなされておらず、優秀な人材の獲得や企業の競争力の面において課題が生じる可能性があります。

今後、経営としては以下の点に注力する必要があります。

① デジタル化の推進:業務のデジタル化が効率化に直結し、従業員の満足度向上につながることが明らかです。デジタルツールの導入と活用方法の教育を進めることで、リモートワークの効果を最大化し、生産性の向上につなげていくことができます。

② 柔軟な働き方の推進:フルリモート勤務においても、効率化と満足度の関係が示されたように、各従業員に最適な働ける条件や環境を提供し、またその推進を個々の社員がポジティブに受け止めていける文化、風土づくりが重要です。

社会的背景として、労働力不足やワークライフバランスの重視が進む中、柔軟な働き方の提供は企業の競争力向上にも寄与します。この潮流に適応することが、持続的な成長と優秀な人材の確保に繋がるでしょう。

ここまでいかがでしたでしょうか。
「バックオフィス業務に関する総合調査レポート」の詳細は、MJSのコーポレートサイトに掲載しており、会員登録や費用など無くレポート全ページをご覧いただけます。
ご興味を持った方は下記URLにアクセスしてください。

https://www.mjs.co.jp/news/news_2024/2024053000/pdf/report-backoffice.pdf

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