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「企業のAI活用とDX実現、どう進めればいい?」中小企業の生成AI導入事例を「MJSソリューションDAY2024」セミナーから厳選してお届け!

MJSは11月12日、中堅・中小企業の経営に役立つ情報をセミナー形式で提供するオンラインフェア「MJSソリューションDAY2024」を開催しました。

「AI」「DX」を軸にさまざまなセミナーが行われましたが、その中で今回は「企業のAI活用とDX実現、どう進めればいい? ~中堅中小企業が始められるDX推進の第一歩~」をテーマに、MJSグループのDX Tokyo株式会社社長、古澤 正章さんが講師を務めたセミナーのサマリをお届けします。

普段の何気ない業務、結構煩雑な業務を、実は小規模事業者でもAIを活用することで劇的に早くこなせるようになります。会社の営業力を飛躍的に向上させるような活用方法も!

そんな実例、アイデアを多数ご紹介し好評を得ました。


古澤 正章さん

AIをうまく活用した実例5選!

古澤 AI活用には、「ChatGPT」など市販のAIツールを使うのか、自社独自のAIツールを作り出すのか、一般的にはこの2つの選択肢があります。

それを前提として、いくつかAIの活用実例をご紹介します。

まずは「AIコーチ」。
サッカースクールの運営企業が作り出しました。

コーチの人数には限りがあるので、生徒一人ひとりに多くの時間は割けません。
また、積極的にコーチに質問できる生徒ばかりでもありません。
サッカースクールでより多くのことを学んで、成長して、楽しんでほしい。
AIを活用するに至った理由です。

そこで、コーチの指導内容をAIに大量に学習させ、LINE上に「AIコーチ」を作りました。
生徒は気になったことがあればいつでもLINEで「AIコーチ」に聞くことができます。
しかも返ってくる回答は、全て実在するコーチの指導内容です。

その結果、このような効果がありました。

①生徒からAIコーチへの相談件数は約10倍
相談内容の統計化によりさらにAIの質向上
③生徒のサッカーレベルが上昇(画一化)

次に、「AI通信簿」。
同じくサッカースクール運営企業の活用実例です。

生徒の成長の評価を1年に1回、コメントでしかフィードバックができていなかったので、数値をベースに親御さんに分かりやすく伝え、スクールへの満足度を高めたいという目的でした。

そこで、コーチが簡単な操作で生徒の評価をすると自動で通信簿が作成されるAIを作りました。
この「AI通信簿」によって親御さんとのコミュニケーションがより充実し、他のサッカースクールと差別化を図ることもできたそうです。

そしてこのような効果がありました。

毎月のAI通信簿が楽しみに、親御さん大満足
②退会件数の激減、紹介件数は激増

そして次は、「AIを活用したWEB記事作成」。
リノベーション工事業の活用実例です。

ホームページで新規顧客を獲得するため、見込み客が興味を持ちそうなWEB記事をホームページに月1回アップするものの、あまり成果が出ていなかったそうです。

仕事の合間に作成するWEB記事には、1本完成させるのに20日間ほどかかっていました。
それがAIを使うことで、従来の1/10の時間で完成させられるように。
そうなると月に投稿できる記事の数も増やすことができます。

大きな効果が得られました。

①サイトへのアクセスは10倍へ
②資料ダウンロードは5倍へ
③営業モデルが、アウトバウンドコールから
インバウンド対応にDX化された

4つ目は、「海外新規ビジネスのAI収集」です。
コンサルティング業では情報収集にAIを活用しています。

課題としては、新規事業の相談を受けることが多いので、「ニュービジネス」に関するアンテナを張りたいというものでした。

そこで、海外のサイトをクローリングして新規ビジネスの情報を集めてくるAIを創出。さらにAIが毎週1回、レポートも作成して経営者に報告してくれるようにもしました。

次のような効果があったそうです。

日本にはない新しいビジネスモデルが続々レポーティングされる
②自社の新事業・新サービス検討に利活用

一区切りの最後は、「トップ営業マンのAIボット」です。
サービス業で採用されました。

営業マンのスキルにばらつきがあり、若手も多いので、いつでも気軽に相談できる先輩社員を各所に配置したいという目的からAIを導入しました。

トップ営業マンの営業スタイルを徹底的にインタビュー、それを分析し、データベース化しました。重視したのは「再現性」。誰もが使える秘訣をAIに学習させたのです。穏やかな言葉遣いで励ましてくれるような優しさをプラスしたのもポイントです。

狙い通りの効果が出ました。

①普段は一般社員が声を掛けづらい「トップ営業マン」へ、電車移動中など、
いつでも気軽に質問できるようになった
②運営サイドでは、一般営業マンが「何に困っているか」を質問一覧から
DB化することに成功

他にもこんなにある、AI活用の方法

その他に、アパレル企業が「AIインフルエンサー」を活用している実例があります。
これはファッションモデルをAIに生成させ、最旬のトレンド情報を発信するという方法です。

実際のモデルを起用せず、撮影するカメラマンも不要になるので、外注コストが削減できます。
また、スケジュールの調整も必要ないので、思いついた「1時間後」には訴求するページ等を完成させられるといったメリットもあります。

さらに、歯のAI画像診断という実例もあります。

大量の歯の画像データをAIに読み込ませ、画像診断ができるようにし、口腔内健康度をAIがチェックするという方法です。

「塗装窯のAI職人」というユニークな事例もあります。

その日の塗装窯の温度や湿度の設定は、職人の長年の経験により判断されます。
そこで、大量の天候・温度・湿度データや大量の塗料別データをAIに読み込ませ、塗装窯の温度・湿度調整をAIにチェックさせるという方法です。
従来は職人技だったものを、AIによって経験を伝承できた事例です。

ここまではオリジナルAIの活用実例でしたが、既製品AIでもさまざまなことができます。

例えば、提案書を作成する際、プロンプトで「『営業DX』のイメージで背景を作ってください」とすると、こんなサンプルが出てきました。

「営業DX」の資料背景イメージ

資料に使うアイコンなどの細かい要素の作成もお手の物です。
「パソコン操作のアイコンを作成してください」「紙押印の課長アイコンを作成してください」とプロンプトを入力すると、こんなサンプルが出てきます。

アイコンのサンプル

また例えば、「MJSのERPシステム『MJSLINK財務大将』と『Galileopt財務大将』の違いを表形式で作成してください」と指示すると、比較表なども作ってくれます。
システムを選定する際などに便利です。

システム比較表のサンプル

既製品AIの他の活用実例としては、「AI業務監視」などもあります。
ハラスメントや情報漏えい、不正行為などの発生に対する世間の見方が厳しくなる昨今、それらを未然に防ぐためAIに常時モニタリングしてもらうのです。

メールやチャットだけではなく、会議の音声データもその対象にでき、平時での業務監視をAIが24時間してくれます。

その他の既製品AIの活用方法として、次のようなものもあります。

・文字を打ち込み、自然言語でナレーションを行う(AIナレーション)
・商談に同席し、営業マンの商談に点数評価を付けて改善レポートを上司に提出(AIトーク解析)
→「あなたの商談は60点でした。改善点はAとBです。次は頑張りましょう。」
・会議内容を自動的に文字化して要約レポートを作成する(AI議事録)

留意点として、AIでどこまでできるのか?と考えるのは難しいです。
大事なのは、「AI=ツール」と考え、あくまでもDX化するための一つの手段として捉えることだと考えます。

AIへの指示出しは適切・丁寧に

ここで少し座学に入ります。

現在のAIは分類すると、大きく分けて「認識」「予測」「生成」の3種類です。
「認識」は、画像や動画、言語の識別があり、最終的には顔認識やチャットボットなどのサービスへとつながります。
「予測」では、売上予測、故障予測などにつながります。
そして「生成」には、要約やビジネス文書の作成といった言語生成があり、「ChatGPT」はこちらに含まれます。

言語生成の領域で、「営業DX」を例にAIへの指示をシミュレーションしてみました。

目的によってどのようなインプットをすればいいのかが決まります。
最終的なアウトプットの質を高めるためには、AIにどのような指示をするかが肝要です。
ポイントは、AIに指示できる人は、人に対しても適切な指示が出せていること。

AIに指示を出した際、期待した回答が得られなかった経験はないでしょうか。
それは「自分という立場」や「期待する回答の意図」が明確に伝えきれていないことに起因している場合があります。
「それくらい汲み取ってよ」というのは人間相手には通用しますが、AIには通用しません。
AIを使って期待した回答を得るトレーニングは、人に対しての論理的コミュニケーション力を鍛えることにもつながるのです。

倫理観を保ち、著作権に対するリスクヘッジも大事

生成AIをビジネスに利用するにあたっての注意点として、倫理的・著作権的なリスクが存在し、クレームや事故につながる可能性があることが挙げられます。

●機密情報の漏洩例:
顧客とNDA(秘密保持契約)を締結しているにも関わらず、誤って生成AIに機密情報を入力し学習させてしまった。

●ガイドライン違反例:
顧客側で生成AIの利用範囲を制限するガイドラインが存在していたが、当社はそのガイドラインを知らず、規定を超えてAIを使用してしまった。

アウトプットに関しても、法的には著作権侵害に当たらないか注意が必要です。
例えばAIが著作物を参考にして当社にアウトプットした場合に、その利用を私的利用の範囲を超えてビジネスに利用をした場合、著作権法違反となる可能性がゼロではありません。

そのまま利用するのがNGであった場合に、手を加えて加工することで回避しようとしても、手を加える行為自体が著作権法違反となるケースもあります。

著作権法第30条4項に、生成AIと著作物の取り扱いが整備されており、要約すると次のようになります。

■入力…入力については著作権侵害には該当しない
■出力…出力については著作権侵害に該当するものもあれば、しないものもある

出力について深掘りすると、以下のようになります。

・「私的利用」は著作権者の許諾なく利用可能
・「許諾」の場合の「引用」について原理原則は
 ①引用部分とそれ以外が明確に区分されていること(引用部分に改変が加えられていないこと)
 ②出典を明示すること
・「類似性」及び「依拠性」に該当するかどうかで判断
 ※類似性…複製(コピー)に該当するかどうか
 ※依拠性…他人の著作物を利用して創作したか

上記についてはAIに限らず著作権の基本的考えと同じです。
つまりAIが生成した資料か否かに関わらず、法的倫理観を以てビジネスにあたることが重要です。

AI活用は専門家への相談がキーポイント

本セミナーでご紹介した実例のほとんどは、従業員200名以下の中小企業で、費用も100万~200万円以下で行われました。
大企業だけでなく、中小企業も日常的にAI利活用を行う時代になったと言えるでしょう。

実例は理解できたものの、誰に相談すればいいか分からないという方は、DX Tokyoにご相談ください。
当社は日本の中小企業DXを支援する「特定非営利活動法人ITコーディネータ協会」と包括的な連携・協力協定を締結しており、AIに限らず、様々なIT専門家が、様々なDX化を支援します。

特に多いご相談ベスト5は次の通りです。

①製造業DX:生産計画、原価管理、IoT
②営業DX:売上UP、営業スタイル変革
③セキュリティDX:規定系、物理系、IT系
④事業計画策定:KPI/KGIの再設定
⑤建設DX:i-Construction、現場管理、文書管理

当社のIT専門家との顧問契約パターンは次の2つです。

★IT専門家シェアリング™
一人の専門家を、他企業とシェアリング
雇用すると人件費が高い「IT専門家」も、他企業とシェアすれば非常に安価で契約できます。例えば年間100万程度の契約で、毎月同じ専門家へ、定期的に「DX相談」しながら長期的にお付き合いします。

★IT専門家サブスク™
複数の専門家を、サブスクでご相談
上期はA氏(BCP対策)、下期はB氏(クラウド対応)、来期はC氏(BPR改善)など、様々な分野専門家を入れ替わりで相談したい、という欲張りな相談にサブスクで対応します。例えば年間100万程度の契約で、毎月自分で選んだ異なる専門家へ、定期的に「DX相談」しながら多面的な経営課題を解決することができます。

お気軽にご相談ください。

セミナーのサマリは以上です。
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